白い部屋の片隅で

主に寝て食っています

甘さ、ミルクティー並み

 なんだか今週はとても疲れていた。

 仕事が急にキツイ。2か月前から新しい部署で慣れない仕事をしているけど、今月に入って急に仕事の量と難度が上がった。それをしっかり認識したのが今週のはじめで、ちょっと口が開いちゃうくらい呆然とした。

 ただ質と量が高いだけならなんとかなるだろうが、仕事なので相手の感情とか都合とか、そういうものも絡んでくる。どうしたらいいかわからないことが多すぎる。こんな何もわからない状態で踏み出せるような、容易なものでもなさそう、というぼんやりした不安が最もしんどいかもしれない。

 一週間の出勤日は5日しかない。なのに今週は、その2日が研修で仕事に手を回せない。いや、回さなくて済む、というのが私の本音に準拠していると思う。

 そんな状態で今日、研修だった。しかもキャリアを考える研修。なんだキャリアって。しらじらしい言葉。こんな自信を無くした状況で、将来を考えるなんて、拷問だろうと思いながら、始まった在宅勤務での研修。

 自信がない状態で、自分の入社後の経歴を振り返ったり、なりたい将来を考えたりする。多分一人でやらされていたら辛かった。一人で、というか、上司も先輩もいる職場で、と言った方が正しい。職場の人たちはいい人たちだが、それでも自分にできないことをできているのを観るのは、相応にキツイ。

 その辛さが想像より小さかったのは、同じ時期に入社して、似た境遇にある人と共有したからだろう。正直、その人たちとは今回はじめて話した。だから全然個人的なことは知らないけど、それでも私と同じように、不安と孤独を抱え何とかやっている人がいる、という事実はなんか頼りになる。みんな同じだから安心、という種類のものとも違う。この感情は話してもいいことなんだ、と認められた気がした。

 もしかしたら私がここ半年くらい抱えているこの気持ちは、仕事についての不安を口に出せなかったことが一因なのかもしれない。じゃあなぜ言えなかったか? 会社外の友人には言ってもわからないし、社外には言えないこともあるから、というのは建前だった。みんながそれぞれ何か「好き」で「なりたい」ものを見ているときに、そうではない自分の悩みを言うのは、友人らをがっかりさせる、と思ったからだ。

 同期の人が、私の自信を無くした「将来」への語りを聞いて、こう言ってくれた。

「もっと自信を持ってもいいんじゃないかなあ。肩肘張らずやった方がモチベーション続くよ」

 そのときに、気づいた。

 色んな節目で私は悩み、誰にもそれを話さないうちに闇を深め、暗い方へと考えていった。そんなとき、何かの拍子でそれを外に出したら、人は私の自信の無さをいさめてくれていた。そんなことに、私は後になって気づくのだ。

 私が大きな秘密を抱えず、ゲラゲラ笑いながら酒なんか飲んでられるのも、そういう節目の他者からの優しさに触れていたからだ。

 自分の言葉にLINEで反応がなかったり、定期的に連絡を取り合う人は自分からLINEしないといけなかったり、なんか、そういう些細なことで、人への信頼を失くしていく自分が情けなくなってきた。甘いよ。全糖のタピオカミルクティーか。

 声を聴いてその人の言葉をかみしめるまで、人への信頼を簡単になくしてはいけないのだ。あああ、全然基本的なことができていなかった。俺はミルクティーです。